院長日記

ここには私(歯科医師、高橋渉)が、診療中や日々暮らしているなかで思ったことを不定期に書いていこうかなと思っています。
一番上がいちばん新しい文章です。下にいくほど以前に書いたものが載っております。
歯科に関係ないことなども書き込むかもしれませんし、文章書くのが苦手なので読むに耐えないと思われた方はここはとばして下さい。

Daniel Schnyder Flute Works!

Daniel Schnyder Flute Works!

私は高校のころ吹奏楽部に所属しておりまして、今でも趣味としてフルートを吹くのですが、吹奏楽部の同級生にして私のフルートの師匠でもある吉岡次郎氏がCDアルバムを出版いたしました!
クラシック音楽好きはもちろん、現代音楽・ジャズ好きの方々にも聞き応えのある内容となっております。
吉岡次郎氏のプロフィール・今までの作品郡については「ムラマツフルート」ホームページをご参照ください。なお、氏はムラマツフルートレッスンセンターに講師として所属中です。
フルート演奏に興味のある方はぜひアクセスしてみて下さい。

シンデレラ・ティース文庫化!!そして・・・

シンデレラ・ティース文庫化!!そして・・・
シンデレラ・ティース文庫化!!そして・・・
シンデレラ・ティース文庫化!!そして・・・

私がミステリ作家、坂木司先生と知り合うきっかけとなった作品、「シンデレラ・ティース」が光文社さんから文庫本になりました!
今回は坂木先生のご推薦により、不詳、私高橋が「解説」を執筆(?)させていただいております。
おそらく世界初のはずの、歯科技工士さんが探偵役のミステリ小説です。
まだ読んだことの無い方は、是非この機会に手にとってみてくださいね!
更に先日、坂木先生初の超短編集、「短劇」も同じく光文社さんから出版されております。
一編が10ページほどの短編のオムニバスなので、中長編が苦手な方でも読みやすいと思います。
この短編集の特徴は、いままでの坂木先生の作品とは一線を画したビターな作風にあると思います。
ある短編の中には坂木先生が今まで決して描いてこなかった「あの」行為も含まれていて、きっと読まれた方は驚くと思われます。
坂木先生のファンの方も、そうでないけど興味をもたれた方も、ぜひご一読ください。

夜の光

夜の光
夜の光

先日、またまた坂木司先生から新刊サイン本を送っていただきました。
お忙しい中、本当にありがとうございました!
今回の作品のタイトルは「夜の光」。
とある高校の天文部員4人のお話でした。
一見お嬢様に見える「ジョー」、アーティストっぽい服装・口調が特徴の「ゲージ」、いわゆる「ギャル」っぽい「ギィ」、大男部長「ブッチ」。
4人はそれぞれ心に秘めた大きな目標にむけて日々を懸命に生き抜いていますが、家族を含む周囲にそれを悟られることは許されない状況です。
彼らはそれをスパイの「ミッション」に例えて、先述の「コードネーム」でお互いを呼び合っています。
天文部の活動を通じて起こる「謎」を解き明かしながら、無事4人は「ミッション」を終え、目標を達成できるのか?
ぜひ皆様もご一読ください。
個人的には「ギィ」の章でラストに「ゲージ」がギィにかけた言葉にグッときました。仲間って大切だな。

家宝にします!

家宝にします!

先日、ひょんなことから4コマ漫画界の大御所、植田まさし先生のサインをいただいてしまいました。
私は植田先生の作品の大ファンでして、初期の作品から拝読させていただいておりましたので大感激です。
「まさし君」、「キップくん」、「フリテンくん」、「のんき君」、「かりあげクン」、「おたかぜ君」「らくてんパパ」、「おとぼけ課長」、「すっから母さん」、「にこにこエガ夫」などなど数々の魅力的な作品のなかから、サインには植田先生の代表作のひとつである「コボちゃん」をいただきました。
植田先生、お忙しいなか本当にありがとうございました。

先生と僕

先生と僕
先生と僕

新進気鋭のミステリ作家としてご活躍中の、坂木司先生の最新作をまたしてもサイン入りでいただきました。
今作の主人公は大学1年生、進学をきっかけに都会でひとり暮らしを始めたばかりの青年「伊藤双葉」くん。
ふとしたことで知り合ったミステリ好きの中学生「瀬川隼人」くんの家庭教師を務めることになり、ふたりで身の周りにおこる事件を解決していきます。
双葉君は純朴な青年で他人を疑うことが苦手、事件には間接的に巻き込まれてばかりですが、ある特殊な才能があり、その能力が、隼人くんの知識・推理と相まって事件の解決に一役買ってしまいます。
どのような才能なのかは読んでからのお楽しみ。
知らなければ見過ごしてしまいそうな、日常生活にひそむ犯罪を次々と解決してゆく二人ですが、今作でも人が殺されたりする犯罪はありませんので、残酷な表現が苦手な方々も安心してお読みいただけると思います。
なお、今作には「怖くないミステリ」作品が国外・邦人作問わず、数多く作中に紹介されています。
そのような作品をお探しの方も是非ご一読くださいね。

かんざしはいかが?

かんざしはいかが?
かんざしはいかが?
かんざしはいかが?

最近は花火大会やお祭りなどで、男女問わず浴衣姿でおでかけする人々の姿をよく見かけます。
そのせいか、特に女性中心に、かんざしが静かなブームとなっているようです。
そんな折、先日坂木先生が懇意にしておられるかんざし屋さんがあるとのお誘いを受けまして、坂木先生にご案内していただき、おうかがいさせていただきました。
お店の名前は「(有)かんざし屋 山口」さん。東急田園都市線、用賀駅より徒歩3分。
店舗にお邪魔させていただきますと、現在三代目の社長でいらっしゃいます、山口真也さん自ら応対してくれました。

休日に特別にお店を開けていただいたのですが、それにもかかわらず非常に物腰おだやかで丁寧に、さまざまなかんざし、帯飾り、和装小物などを手にとらせて説明していただきました。
山口さん、実はその業界ではちょっとした有名人でして、かのベルリン国際映画祭でも話題になった映画「さくらん」や、TVドラマ「カクレカラクリ」「百鬼夜行抄」「めぞん一刻」などにかんざしをはじめとしたアクセサリ類を提供しておられ、スタッフロールにもお名前が出ているとのこと。
うっかりカメラを持っていくのを忘れてしまい痛烈に後悔したのですが、お店の中には「さくらん」で土屋アンナさんが実際に使用したかんざし(非売品)その他や、そのほかの番組で今まで映像に使われてきた品々が展示されておりました。
下の画像はお店のウェブサイトから拝借してきた物です。
それぞれの品物の特徴やかんざしの起こり・歴史などについても詳しく出ておりますので、下記URLを是非ご参照下さい。

http://www.kanzasi.co.jp/

最近では女性の方のみならず、男性でもヘアメイクのワンポイントとして和装小物を使う方も増えてきたとのこと。
皆様も古くて新しい、日本の「粋」を身近に味わわれてはいかがですか?

ワーキング・ホリデー

ワーキング・ホリデー
ワーキング・ホリデー

前回日記でご紹介いたしました歯科医院ミステリ「シンデレラ・ティース」での取材を受けたのがご縁で、プライベートでもお付き合いを続けさせていただいております、ミステリ作家「坂木 司」先生の新作、「ワーキング・ホリデー」が文藝春秋社から刊行されました。
今作の主人公は「元ヤン・ホスト宅配便ドライバー」。
主人公「沖田大和」とその息子進くんとの、初めて一緒に過ごした夏休みが舞台です。
今回も初版第1刷本にサインをいただくことができました。
感動!!各地にてサイン会や講演会などご多忙の最中、本当にありがとうございました。
皆様もぜひ書店にて見かけましたらお手にとってみてください。

シンデレラ・ティース

シンデレラ・ティース
シンデレラ・ティース

実は以前に、歯科医療の現場や歯科特有の疾患について、ミステリ作家の先生に取材を受けたことがあるのですが、先日ご連絡いただきまして、いよいよその本が単行本になったとのこと。
題名は「シンデレラ・ティース」(光文社刊行)。
作者は「坂木司」先生です。
「シンデレラ・ティース」はある歯科医院の受付のアルバイトの女の子が主人公の物語です。
舞台である歯科医院に来院する患者さんは実に様々な悩みを持ち、それに伴い不思議な謎を歯科医院に持ち込みます。
その謎に、院内の謎解き・探偵のような役どころの歯科技工士「四谷さん」を中心に、受付などの歯科助手さん・衛生士さん・歯科医師が治療を通じて挑んでいき、スタッフ全員がすこしずつ学び、成長していく物語なのですが、歯科医療のプロである我々にしても、いろいろと勉強になることが作品に盛り込まれています。
私も以前から坂木先生の作品の大ファンでして、すべての作品を所有・愛読しています。
ですので、「あとがき」に当院と私の名前を載せて頂き、更に初版サイン本までいただきまして大変感激いたしました!!
坂木先生の作品はミステリにしては珍しく、「人が死なない」ミステリで、作風・筆致はあくまで優しく、われわれが大人になるにしたがって忘れていってしまった、優しい感情を取り戻せるような、なつかしい気持ちになれます。
ミステリに興味のない方でも、ストーリーを純粋に楽しめる作品だと思いますので、是非このサイトをご覧の皆様もご一読くださいませ。

歯の予防週間に寄せて

最近は歯科医院だけではなく、患者さんの間でも「予防診療」の考え方が浸透しつつあるようで、当院でも診療の合間に予防に関する様々な質問を受けるようになりました。
その中でも多いのは、「最近虫歯予防、歯周病予防をうたった商品が多いけど、どれを選べば良いか」という質問です。
各メーカー様々なセールスポイントをもった製品が出ていますが、最近私がよくオススメするのは、「バイオフィルムを破壊・除去する」コンセプトの商品です。
バイオフィルムというのは、細菌が増殖する過程で生み出す多糖類による一種のバリアーのことです。
プラークや歯石も細菌の塊ですから、このバイオフィルムによって覆われています。
バイオフィルムは粘着性(ネバネバしている)、不溶性(水に溶けにくい)の性質を持っています。
そのせいで歯ブラシしても落ちにくかったり、殺菌効果をもつ歯磨き剤やうがい薬も、プラークの内部まではなかなか効果を発揮しづらいのです。
そこで最近のデンタルペーストはそのバイオフィルム自体を分解して、殺菌成分がプラークに作用しやすくなるように改良された製品が販売されています。
私自身もこのタイプを毎日使っています。
メーカーさんからサンプルをいただいたのですが、使用感が良くて1回で気に入りました。
もし歯磨き剤に何を使うか迷ってらっしゃる方がおられたら、「バイオフィルム」という単語に気をつけて探してみてはいかがでしょうか?

受診はお早めに・・・

みなさんご存知のように、われわれ歯科医師は細かい作業が多く、治療中はじっと同じ姿勢をとり続けていないとならない職業です。
そのせいか、目・肩・腰を悪くする同業者は多いようです。
ご多分に漏れず私も以前より首と肩は凝りがひどくて悩んでいたのですが、職業病だとあきらめ、特に病院や整体などにはかかっておらず、痛みが強いときはシップと痛み止めでしのいでおりました。

しかし最近指先にしびれが出てくるようになり、これは何か悪いものでもできたのかと思い、整形外科を受診することにしました。
問診、レントゲン、可動域の検査など終わりまして、先生に告げられた診断名は2つ。

ひとつは「手根管症候群」といって、手先で細かい作業をする人がかかりやすい、手首内部の神経とその周囲組織の炎症性病変でした。
こちらは症状がひどくなければ手首の安静と服薬で軽快するようでした。

もうひとつの診断名に私は多大なショックを受けました。
・・・・なんと「五十肩」!まだ30代なのに五十肩なんて、実際50歳になったときには自分、どうなってしまうのだろうと考えたらガックリきてしまいました。

ただ、先生いわく「五十肩というのはいわゆる通称で、若い人でも例えばバレーボールの選手なんかで肩を酷使する人はかかるし、80歳で発症したとしても五十肩っていうんで、気にしないで下さい。」というなぐさめの言葉をいただきました。

どちらの病気も早めに診察を受ければかなりの回復が見込めるらしいので、ひとまず安心です。
ただ、しばらくリハビリに通わなければならないようです。

みなさんも日常生活や仕事で酷使している部分はありませんか?歯科に限らず、ちょっとおかしいなと思ったら早めの受診をお勧めいたします。

祖母へ

おばあちゃんへ

「子は親の背中を見て育つ」とよく言いますが、ぼくにとっては両親の背中はもちろんですがおばあちゃんの背中、とくに診療中の、白衣を着た大きな背中が僕の道しるべでした。

老若男女大勢の患者さんの信頼を一身に受け、口の中の悩みだけでなく、個人的な身の上相談などにも、よく応じていました。
そんなおばあちゃんの姿をみて、自分もおばあちゃんのような歯科医師になりたいと思いました。

現在でこそ女性の歯科医師は珍しくありませんが、おばあちゃんが歯科医師になった頃は大変な苦労をともなったことと思います。
その後も地域の歯科医療に長年にわたって貢献し続け、85歳を越えるまで、僕が歯科医師として一人前になるまで、現役で待っていてくれたおばあちゃん。
僕にとって、誰に対しても誇ることのできる人生の大先輩でした。
大きくて芯の強い、患者さんにとっても僕たち親族にとっても、頼りになる母親のような人でした。
そんなおばあちゃんが今年病に倒れ、日一日と弱っていく姿を見ているのは身を切られるように辛いものでした。
病状が進行してかつての姿からは想像もつかない程にやせ衰えてしまっても生来我慢強いおばあちゃんでしたから、僕らには痛み・苦しみを訴えることもなく、それが介護を続ける僕たち親族にとっては唯一の慰めとなりました。
最期を迎えた日には、きっと疲れ果てたのでしょう、本当に「眠るように」、静かに息をひきとっていました。
自分のなすべきことをすべてやり終えた人はこのような表情になるのでしょうか、見るものの心に悲しみよりも安らぎをもたらすような、穏やかな顔をして眠りについていました。
呼吸が止まったという知らせを聞いて最後に脈を確認しにかけつけたときの、まだ温かみの残るおばあちゃんの表情を、僕は一生忘れないと思います。

きっと今頃はおじいちゃんを始め、先に亡くなったたくさんの懐かしい方々が迎えにこられて、旧交を温めていることでしょう。
おばあちゃん、今まで本当にありがとう。
そしてお疲れ様でした。
どうぞ安らかに、ゆっくりとお休みください。

平成17年6月2日
高橋 渉

花粉シーズンのマスク ようやく暖かくなって春らしくなってきました。

卒業・入学・お花見など楽しみなシーズンです。
しかしそんな春でも、今年はわが国の多くの方々がつらい季節を迎えることになりました。
そう、スギ花粉の季節ですね。
私自身20代前半から花粉症を患っておりまして、この季節は毎年診療中のみならず通勤中やプライベートの外出にいたるまで服薬とマスクが欠かせません。
最近は花粉症の認知度が高まってきてマスクをしておられる方を街中でもよくみかけます。
薬局でも店頭に様々なタイプがおかれておりますが、逆にどれが良いのか迷われるかたも多いかと思われます。
そこで今回は僭越ながら、自身花粉症でつらい思いをしていろいろなマスクを試してきた私がマスク選びのポイントについて簡単に記してみました。

  1. 自分の顔の形、とくに鼻柱にフィットしていること
    最近はよく立体形状のマスクをしている方を見かけますが、私が試したところどうも鼻の部分に隙間があいてしまってそこから外気が侵入してしまいます。
    私が使っているのは鼻の部分に軟らかいワイヤーが入っていて個人個人の顔に合わせることができるタイプです。
    また、頬の部分にも隙間ができやすいのでその部分にサイドガードみたいなものがあればさらにオススメです。
  2. 面積は広めで鼻から顎の下まで覆えること
    よく小さめのマスクで口だけ覆っておられる方や、逆に鼻中心に覆っていて口の部分が隠れきってない方を見かけますが、特に重症のかたの花粉症のアレルギー反応は少量の花粉をすいこんだだけでも引き金になって起こりますので、鼻と口両方を外気から遮断できるタイプで広く顔を覆ってあげることが大切だと思われます。

大まかにいって、この2点を満たしていれば特に価格の高いものでなくても十分に役に立ちます。
私自身は不織布の使い捨てタイプでワイヤーで形を調整できる安めのものをつかっております。
このコラムを読んでくださっている花粉症の同志の方々、お互いがんばってこのシーズンを乗り切っていきましょう!

日本デンタルショー

みなさん、「東京モーターショー」をご存知かと思われます。
自動車会社とその関連企業が一堂に会し、それぞれ各社最先端の技術をお披露目するのですが、実は歯科医療業界にもそのような祭典があります。
その名も「日本デンタルショー」といい、今年は横浜みなとみらいのパシフィコ横浜にて盛大に開催されました。
私も日曜日を利用して参加してまいりました。
広い会場内は歯科関係の方々で大盛況でした。
各研究機関の先生方の最新の論文の概要を掲示するコーナーもあり、歯科関係の各種企業のブースには最新の商品が陳列されていたりしました。
私も会場を隅々まで見てまわり、閉会の頃にはヘトヘトになってしまいました。
しかし思いもかけぬ懐かしい方々に再会したり、新商品のサンプルを頂いたり、企業の方々の医療現場に対するご意見など普段聞くことのできない生の声をうかがうことができたりと、大変充実した一日となりました。
次回もぜひ参加して良い知識を仕入れ、日常の臨床に役立てていきたいと思いました。

便利な道具は多いけれど

先日当院ホームページをご覧になって受診してくださった患者さんから、こんな話をうかがいました。
この方が以前通っていらっしゃった歯科医院は内装がとても素晴らしく、スタッフも大勢おり最先端の医療機器がそろっていたとのことでした。
最初は気に入って通院されていたのですが、そこの先生は大変レーザー治療がお好きな先生らしく、なにかにつけて患部にレーザーをあてていたそうです。
当院での初診時「歯ぐきの腫れが治らない」とのことでしたので、私が拝見しますと原因は歯ぐきの骨の奥、歯の根が二股に分かれている部分にありました。
そうなると当然外科的にその部分にアプローチする治療をしなければならないのですが、その先生は歯ぐきの表面の腫れている部分にレーザーをあてるだけだったそうです。
レーザーをあてると確かに腫れがひいたらしいのですが、しばらくするとまた腫れてくるので、受診するとまたレーザーをあてる→しばらくするとまた腫れる。
のくりかえしだったそうです。
また、レーザー治療は保険がきかないと言われて、そのたびに高額な料金を請求されたそうです。
おかげでその患者さんはレーザー治療そのものにも強い疑念を抱いてしまったようでした。
もちろんレーザー治療には多くの利点があり、有効に使うことによって患者さんにとっても我々歯科医師にとっても有益な治療結果をもたらしてくれるのですが、このような使い方をしていたのではなんにもならないと思いました。
私は基本的には、便利な道具は正しい技術と知識をもって使いこなすことによって初めて効果をあげることができるものだと思っています。
例えばわれわれがブラッシング指導をしているとき、患者さんの中には「面倒くさいから電動歯ブラシで磨くよ。
それでいいんでしょ?」とおっしゃる方もおられます。
しかし電動歯ブラシは歯を磨くときの理想的なブラシの「動かし方」を再現しているだけであって、ブラシを「当てる角度」・「当てる力」・「当てる場所」を知ったうえで使わないと効果を発揮してくれません。
逆に歯ぐきをいためたり、ひどいときには歯が削れてきてしまったりします。
私が電動歯ブラシをお勧めする患者さんはたとえば脳梗塞後遺症などで手が十分に動かせない方など、歯をきちんと磨きたいけれども難しい患者さんです。
その場合も、ただ「電動歯ブラシを買って使ってください」と言うだけではなく、実際当院に持参していただき、患者さんが納得いくまで練習していただいてから使用していただいております。
私も当院で治療に使う数々の便利な道具を購入しておりますが、有益に使わなければならないなと、今回あらためて思いました。

意識と実践と

先日歯科学会に参加してきました。
歯科における各分野のエキスパートの歯科医師・歯科衛生士の方々が、それぞれの分野において大変興味深い研究発表をされていました。
私としては、もちろん歯科医師の先生方の発表も大変勉強になりました。
が、いち開業医として最も印象に残ったのは、ある衛生士チームが発表していた、「入院患者の口腔ケアに対する取り組み」という論文でした。
その内容は、ある病院に勤めている看護師さん全体に対して行ったアンケート調査の結果をまとめたもので、口腔管理の必要性に対する意識と、どの程度の口腔ケアが実際に行われているのかを調査したものでした。
結果、さすが看護師の方々の口腔環境に対する意識は高く、入院中の口腔ケアの必要性は認識しているものの、煩雑な日常業務に追われて十分なケアが行われていないこと。
それとケアの方法などの具体的な情報源が無いこと、この2点が最大の問題点になっているようでした。
われわれ一般歯科開業医にとってもこれは重要な問題であると思いました。
現在の医療制度では、一般医科の現場に歯科医師・歯科衛生士が介入して口腔ケアを行うのは少し難しいのが現状です。
ではわれわれにできることはなんだろうと考えてみました。
そして、日常の診療のなかでできる限り多くの患者さんに正しい口腔ケアの方法をお伝えしていくことが一番だと思いました。
そうすれば、例えば私の受け持った患者さんの御家族が入院したとして、その患者さんが御家族の口腔ケアを手助けしていただけると思うのです。
実際当院にてきちんとしたブラッシング方法を学び、御家族全体に広めておられる患者さんも大勢いらっしゃいます。
そのようにして健康な口腔環境をみなさんに広めていくことは、私たち地域に密着した開業医にしかできないことではないかと思いました。
今後もみなさんの口腔環境改善に力を注いでいきたいとの思いが改めて強くなりました。
みなさんも、お口のなかで疑問に思うことがおありでしたら、どうぞお気軽にお尋ねくださいね。
益に使わなければならないなと、今回あらためて思いました。

入れ歯のカビにご用心!

ここ最近ジメジメした陽気が続きますね。
そろそろカビに気をつけなければならない季節ですが、お口の中にもカビの仲間が住んでいることはご存知ですか? これは別に異常なことではなく、口腔内に常にいる菌の一種で、誰の口の中にも存在しています。
このカビの一種は普段は特に悪さをするわけではありません。
むしろ口腔内の細菌の勢力バランス(あやしげな表現ですが)には重要な働きをしめていますし、 プラークや歯石の原因菌というわけでもないのですが、次の場合には悪さをすることがあります。

  • なんらかの原因で免疫力が大幅に低下した場合
    この場合は歯科領域の力だけでは解決は難しいので専門医に治療してもらうべきです。
    私たちの領域にとって重要なのは次の場合です。

ヒトの歯ぐきや口の粘膜には免疫物質や唾液による自浄作用などのおかげで、このカビの仲間はあまり繁殖できませんが、入れ歯の表面には好んで生息します。
毎日入れ歯のお掃除をしたり、定期的に清掃剤を使うことによってカビの繁殖を食い止めることができます。

また、年をとるにしたがって食物を飲み込むときに食道ではなく気管に入ってしまうこと(いわゆる「むせる」状態。嚥下困難)が多くなってきますが、そのとき同時に入れ歯についているプラークや、カビをのみこんでしまいます。
このことが原因で気管から肺に細菌やカビが侵入し、抵抗力の弱くなったお年寄りでは「誤嚥性肺炎」と呼ばれる病気を引き起こす可能性があります。
これは肺炎ですから、体力の低下している状態でかかると死亡する場合もあるのです。
などと、おどかすようなことをツラツラと書いて参りましたが、今回のテーマはただひとつ、「入れ歯はキレイに使いましょう!」ということです。
あまり意識している方はいらっしゃいませんが、入れ歯にもプラーク・歯石はつきます!
患者さんのなかには「入れ歯は自分の歯じゃないから一生懸命掃除しなくてもいい」と思ってらっしゃる方もいらっしゃるので、そうではないんですよと強く訴えつつ今回のひとりごとを締めくくらせていただきます。

う~ん・・・(-_-;)

よく診療中に患者さんから耳にするフレーズがあるのですが、私はそのフレーズについて疑問をもっています。
それは、「もう年だから歯が抜けてきちゃって」というものです。
歯が抜ける原因としては、重度の虫歯・事故などの外傷・歯周病が主なものとしてあげられると思います。
このうち外傷をのぞけば、日常のメインテナンスによって防ぐことのできるものばかりです。
たぶんみなさんが「年だから」とおっしゃるのは、「年をとると自然に歯が抜ける」という意味合いだと思いますが、歯が抜ける主な原因は歯周病により歯を支える組織がダメージを受けていることだと思われます。
ということは、毎日正しい方法で歯ブラシをしていれば防ぐことができると言うことです。
このような大変な時代ですから、「歯を丁寧に磨いている時間がもったいない」ですとか「歯周病のアフターケアで通うのは面倒だし時間がない」というお気持ちはわかります。
しかしみなさんはたとえば「手を洗うのをサボっていたら、手がもげてしまった」としたら、手洗いをサボっていたことを心底後悔するのではないでしょうか。
あえて極論すれば、歯を歯周病で失うこともそれと同じことで、大変もったいないことだと思うのです。
一日の終わりに、寝る前たった5分、いままでより時間をかけて歯を磨くだけで一生自分の歯で食べることができるのにな、と、たまには歯科医師らしいコメントを残して、今回のひとりごとを締めさせていただきます。

よろしくお願いいたします。

このページをごらんになってどんな感想をお持ちになりましたか?
実は私はホームページを作るのが生まれてはじめてです。
ですから、「このページ見にくい!」とか、「もっとここをこうしたらいいのに」とかご意見ご要望などありましたら、お手数ですが当ページのお問い合わせフォームなどからお言いつけください。
どんどん更新して皆様に見ていただけるページになれるよう努力しますので、宜しくお願いいたします。
まだ見ている人も少ないページだと思うので、ためしに色々掲載してみたいと思います。
それを見て患者様方の疑問や悩みが解決できるようなコーナーができればいいなと思っております。